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ミヤタサイクル設立発表会、赤字体質からの脱却を強調
自転車事業売却の可能性については強く否定(10 6/1)

 6月1日、日本自転車会館において、(株)ミヤタサイクル(高谷信一郎社長)が設立発表会を行なった。(株)モリタホールディングス(中島正博社長)の連結子会社である宮田工業(株)は、同社の自転車販売事業を分離、新会社(株)ミヤタサイクルがこれを継承する。新会社ミヤタサイクルはモリタホールディングスの100%子会社として発足、宮田工業とは兄弟会社となる。
 ミヤタサイクルの社長に就任した高谷氏は、ソニーやP&Gサンホームなどのメーカー勤務の後、数々の金融機関で金融アナリストとして活躍してきた財務のプロフェッショナル。企業の代表取締役社長を務めるのは初めてだ。多くの業界関係者が注目を集める中、同氏は登壇し設立主旨を述べた。
まず、消防、防災を主力事業とするモリタがなぜ自転車事業を継続するのか、という問題だ。
モリタは環境関連事業にも積極的に取り組んでおり、自転車事業は環境負荷の低減に寄与する、さらにスポーツ車需要は拡大しており、今後は自転車事業において高い収益性が見込めるからだという。
では、ミヤタサイクルはこれまでの宮田工業とどう違うのか。高谷社長が述べた新企業ミヤタサイクルの企業理念の主旨は以下のとおり。
●健康志向、環境志向という社会背景を重視し、生活の質を高める乗り物としての自転車やそのライフスタイルを提供する。
●これまで培ってきた高品質機種製造の開発力や生産力をベースにマーケティング主導型の事業を志向する。
●販売店との連携を強化し、販売支援プログラムなどを積極的に提案する。
最も大きな変化は、マーケティング主導型を標榜していることだろう。これまでの宮田工業の自転車事業は、技術力・開発力をベースにした、言わばプロダクトアウトの発想が強かった。新社長の言葉を借りればこれまでの宮田工業は「高度成長期のメーカー的発想から一歩も出ていない」ということだ。この言葉の意味はもちろん、防災事業に依存して赤字体質から脱却できていないという意味も含まれるだろう。
今後は本社を東京都港区西新橋に構え、ブランドマネジメント部を新設。この部署が同社の中核となり、消費者ニーズを的確に分析し、商品作りにフィードバックさせていく意向だ。また、こうした仕組みの中で生み出された、付加価値の高い商品を、ギヤMのミヤタブランドとして再構築する。
 さらに言うまでもなく、メリダブランド車の販売も強化する。
「メリダは世界市場でも充分に通用する品質、デザインを持つと同時にコストパフォーマンスも高い。生産管理能力も優れており、非常に競争力の高い商材を供給できる」(高谷社長)。
増え続けるエントリーユーザー、それに続く予備軍に向けて、メリダブランドのクロスバイクを訴求していく意向だ。
今後の事業計画については以下のように語る。「これまでの赤字体質からの脱却を図ることが第一だが、2010~2012年までの3年間で経営基盤の再構築、事業の安定化を図る。当面は営業利益率7%が目標、最終的には10%を目指す。台数や売上高の数値目標は現時点では公表しないが、売上高ではなく収益性を重視する。中国のOEM先については現時点では、従来通り、メリダ、上海祭本、威利克が中心だ」。
業界で最大の関心事である自転車事業売却の可能性について聞かれると「現時点では全くない」と否定した。
 なお、同発表会には19社27名の報道関係者が出席。ミヤタサイクルからは、高谷社長のほか、村上一好取締役、山川靖嗣執行役員、藤井洋治執行役員らが出席した。
 ここ数年「ミヤタはどうなってしまうのか」という声が業界の至るところから聞こえてきた。モリタは自転車事業をいつ、どこに、売却するのか。様々な噂がまことしやかに囁かれた。
そして、今回のミヤタサイクル設立。防災事業との完全な切り離しを断行した。3年間で経営基盤を再構築するということだが、果たして本当に可能なのか。
 高谷社長は自転車業界ではまったくの新参者と言っていい。創業120年を越える老舗メーカーの舵取りを財務のエキスパートがどう取っていくのか。間違いなくこの3年間が正念場だ。期待と注目がこれまで以上に高まることだけは間違いない。
 
■商号:株式会社ミヤタサイクル
■事業内容:自転車販売事業
■設立年月日:平成22年6月1日
■本店所在地:東京都港区西新橋3-25-31
■代表者:代表取締役社長:高谷信一郎、取締役 白井幸喜、 取締役 村上一好、非常勤監査役 金岡真一
■資本金:1億円
■総資産:約14億円
■従業員数:49名


財務のエキスパートである高谷信一郎社長が、事業計画を語った


サイモト、九州の地方卸ヤマイチの事業を継承
5月21日から新体制、売上高は約15億円増に(10 3/29)

 サイモト自転車(株)(祭本康博社長)が、(株)ヤマイチ(山下正英社長)及び子会社のイワイワールド(株)(同社長)が営む自転車卸売事業、自転車パーツ卸売事業、ベビー用品卸売事業を継承することで3月17日に3社が合意した。5月21日から現在のヤマイチ福岡店(福岡市東区多の津)がサイモト自転車九州支店、ヤマイチ長崎店(長崎市古賀町)がサイモト自転車長崎営業所となって営業活動を開始する。雇用についても引き継ぎ、現在のヤマイチの従業員はサイモト自転車の従業員となる。また、ヤマイチ濱崎薫常務取締役は長崎営業所長に、同社取締役尾曲政司営業本部長は九州支店長にそれぞれ就任予定だ。なお、山下正英社長は引退する。
 昨年6月頃からヤマイチからサイモト自転車に営業権の譲渡を打診、その後十数回に亘る会合があり正式に契約締結となった。ヤマイチは創業44年、九州の自転車市場でも大きな販売力を持ち、今までに一度も赤字を出したことがない優良企業だ。昨今の景気低迷下でも堅実な業績で推移していた。そんな中で今回こうした合従連衡を決断したのは、山下社長自身の後継者問題、また激化する九州市場の中でより安定した事業展開を模索し、業界全体の発展に寄与するためだと言う。山下社長は「相手先企業として、30年来の取引関係にあるサイモト自転車以外は考えられなかった」と語る。一方のサイモト自転車の祭本康博社長も「大変有り難い話で、九州地区営業態勢の充実に繋がる。企業全体の売上高は約15億円増に」と話す。

M&Aを行なったサイモト自転車の祭本康博社長(右)とヤマイチの山下正英社長



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