ピックアップニュース 2008


宮田工業、消防車・防災のモリタの連結子会社に「友好的TOB」で、
新体制後も尾下社長は続投か(08 10/20)

 また自転車業界に衝撃が走った。自転車業界の老舗企業の1つ宮田工業(株)(尾下 脩社長)が、防災関連企業モリタの傘下に入るというニュースだ。
 10月8日午後に、宮田工業(株)、(株)モリタホールディングス(中島正博社長)、パナソニック(株)(大坪文雄社長)がそれぞれ新たなIR情報を発表。 宮田工業は、取締役会において、(株)モリタホールディングス(中島正博社長)による宮田工業の普通株式に対する公開買付けに賛同することを決議した。
 (株)モリタホールディングスは、取締役会において、宮田工業(株)の普通株式を公開買い付けにより取得することを決議。そして、宮田工業の筆頭株主であるパナソニック(株)(大坪文雄社長)は、保有する株式数1155万8232株(持株比率40.7%)の総てを公開買付けに応募することを発表したのだ。11月7日に公開買付けを終了し、11月14日に買付け決済を実施する見込みだ。
 この結果、モリタホールディングスが現在所有する宮田工業株式284万株(持株比率10%)と合わせて50%以上を保有することになり、宮田工業はモリタホールディングスの連結子会社となる。同時にパナソニックは宮田工業とは完全に縁を切り、以前から囁かれていたパナソニックサイクルテックと宮田工業の合併という噂話はひとまず100%なくなった。
 宮田工業の自転車製造の歴史は、1890年(明治23年)まで遡る。この年に安全型自転車国産第1号の試作に成功。以降は自転車の将来性に着目し、自転車製造企業としての歴史を積み重ねていく。1952年に国産初の粉末式消火器の製造をスタート。以降は自転車事業と防災事業という2つの柱で現在に到っている。
 言うまでもなく、ミヤタというブランドは今日まで残る数少ない自転車ブランドの1つであり、高品質の象徴だ。そのミヤタが防災関連企業の傘下に入るというのは、自転車業界人にとっては少なからずショックなはず。宮田を中心に扱う地方卸の多くが「寝耳に水だった」と落胆を隠せない。確かに最近の宮田工業の業績を見ると、防災が売上高の約70%を占めるに到り、自転車は明らかに分が悪い。ある自転車メーカーの社員は語る。
 「宮田工業は少し前まで国産の象徴だった。でも、今はほとんどが上海や天津のメーカーに委託している。そういう流れの中で自転車メーカーとしての開発力や存在意義を示していくのは難しい」。確かにここ数年の宮田工業の生産態勢の中国シフトは目を引いた。そして生産品目も大きく絞り込み、台数ではなく質を求める施策に転換した。勿論、こうした傾向は同社だけではなく、他にも同じような施策を取る企業はある。しかし、宮田工業は防災という別の主幹事業を持っており、これが最大の特徴なのだ。簡単に言えば「自転車より儲かる消火器がある」のだ。そうした宮田に目をつけたのが、同じ防災関連のモリタだったのだ。
 (株)モリタ((株)モリタホールディングスは、今年10月1日に持株会社として設立)は、消防ポンプ車のトップメーカーで、消火器、防災設備、環境関連機器などを製造販売する。2008年の売上高は約500億円。同社は宮田工業と平成13年に資本業務提携を結び、宮田工業の普通株式10%を保有。同社は、主力のポンプ事業の収益をより強化するために、消火器などの防災設備を中心とした防災事業を第2の柱にすることを重要課題としていた。そうした中で、現在は防災事業部門が売上高の約70%を占める宮田工業とのシナジー効果、補完効果を期待して宮田工業を連結子会社化する動きに踏み切った。一方の宮田工業の防災事業にとっても悪い話ではない。両者が持つ販売チャネル、営業インフラを相互活用でき、より効率的な営業販売活動が可能になるだろう。
 さて、では今後の宮田工業の中で、自転車部門はどうなっていくのか。
 自転車事業については今後も継続して強化していくと発表している。マーケットインの発想で高付加価値商品へのシフトを一段と進めていくという。また、尾下 脩社長は、パナソニックグループ出身であるが、新体制発足後も引き続き社長を務める予定だ。最近同社が進めてきた両事業の有機的連携をさらに推し進めていく構えだ。
 現時点で、自転車部門は防災部門に比べれば確かに業績は劣るだろう。それは紛れもない事実だ。しかし、量から質への転換が成功しミヤタブランドが中・高級自転車の象徴として再び評価されるようになれば、業績の回復も充分に可能だとみる。そのためにも重要なのが持ちこたえる体力であり、防災事業とのより有機的な連携による効率化だろう。また、モリタにとって、健康や環境の象徴である自転車部門を持つというのは決してマイナスではないはずだ。防災事業が人々の暮らしを安全に守るために存在するように、自転車事業は環境と健康を守るためにあるはずだ。新しい視点で防災とともに育てていく、という気構えを望みたい。
 ミヤタはこの秋初めてサイクルモードに出展する。新しいミヤタの意気込みを感じられるような展示を期待してやまない。



岡山の地方卸、島村商会が7月末で営業停止、 自己破産手続きに(08 8/18)

 岡山の地方卸、(株)島村商会(島村忍社長)が7月31日に営業停止した。破産開始の申請代理人として太陽綜合法律事務所(岡山県岡山市本町6-36 第1セントラルビル2F、086-224-8338)の上西芳樹弁護士らが選任され、岡山地方裁判所に自己破産申請手続きの準備に入っている。  負債総額は約10億円で、そのうちの約7割は金融債務と見られる。自転車業界内の債務は、一部の商社をはじめかなりの企業数に上るがいずれも業績に与える影響は今のところ大きくないと思われる。
 寝耳に水のニュースだった。地元では7月下旬あたりから「今後の商品供給は当社から出来ませんのでよろしくお願いします」と同社の営業担当が各取引先を周り、「7月31日を持って営業を停止します」との貼り紙が社屋に出されていたという。
 中国地方の地方卸としては山口県下松市に本拠を構える福知商会とともに二大勢力として同地方業界の中心的存在だった同社が突然息絶えた訳だ。同社は最近では関東地方にも拠点を構えて、関東の量販店等にも商材を供給、営業活動を展開していただけに「残念だ」「どうして島村さんが突然」という声もある。一方で、同社の状況をよく知る業界関係者の中には「金融の貸し渋りがボディブローのように効いていた」「中国からのコンテナが止まったから危ないと思っていた」と語る人もいる。
 同社の前身は、1931年創業の島村自転車商会で、48年に株式会社島村商会として設立。岡山を拠点に自転車卸業、小売業を営んできた。中国地方の卸としては、オンライン化されたデリバリー態勢を早くから構築し、自社ブランドであるWHALEの自転車やベビーカーなどの乳幼児向け乗り物をDCMジャパンのダイキやタイム、西友、トイザらスなど量販店を中心に全国に商材を供給してきた。また、95年には上海支社を設立し、中国メーカーとの関係を強化。2003年には日本トイザらス(株)のベンダーオブザイヤーを獲得している。また、07年には岡崎市江並の岡山支社敷地内に自転車小売店コレールを開店し、つい最近、ホームページを開設したばかりだった。同店では、ルイガノやコナ、ダホン、ブリヂストン、パナソニックなどを扱いカジュアルスポーツ系機種に注力していたようだ。
 同社が頓挫した大きな要因の1つは、生産地中国の状況が目まぐるしく変わっていることにある。同社は、華中沿岸部の耀馬や寧波興隆などから自転車を仕入れてきたが、原材料費、人件費の高騰、人民元高がここ数年続いており、昨年断行された増値税還付率の引き下げが追い討ちをかける。さらに、今年から実施されている新しい雇用法も、安定した人材確保を難しくし、厳しい状況が続いた。また、北京オリンピックの影響も無視できない。開催地北京に近い天津だけではなく、サッカー会場になる上海周辺でも同じように様々な規制がかかり、中国国内、海上輸送ともに物流網が停滞していた。  そして、同社が発注していたコンテナが中国国内で足止めを食らい、出港できずに自転車が岡山に届かなかったことがとどめになったのではないか、と話す関係者もいる。実は同社だけではなく、ほとんどの自転車業界に関わる企業は、オリンピックによる物流の停滞の影響を受けているが、長期的な計画を持たなかった企業は、たちどころに供給不足に陥ったのだ。
 もう1つの要因は、前社長時代の1994年に岡山市江並に社屋や配送センターを建設したが、その際に生じた債務を背負い切れなかったことだ。当時は銀行もそうした新しい設備投資などへの融資を積極的に行ない、不動産評価も上昇曲線を辿っていたのだが、不動産バブルが弾けた後は、この負債がじわじわとボディブローとして効き始めた訳だ。業績が少しずつ下がり続ける中で、固定資産の負債が頭をもたげる。結局こうした貸し付けが金利も含めてどんどん膨らみ、金融機関も見放すことになったのだ。地方銀行の体力の無さもあるだろう。「どうしてあんなに立派な企業が破産してしまうのか」と思う地元の人々がいる。そうした中には岡山市江並の同社社屋を知っている人も多いだろう。8月18日現在、まだインターネット上で確認できる同社のサイト(http://www.whale.co.jp)には、同社の施設が紹介されている。コンピュータ管理で整備された事務所、パブリックルーム、シャワールーム、社員喫煙室、配送センターなど素晴らしい施設ばかりだ。岡山市の中心部から南方向約7~8kmに位置する江並地区に件の施設がある。これが仇になった、という見方もあながち外れていない。
 また、同社の元役員の1人は「仕入れの仕組みに問題があった。商社などを通さずに中国のメーカーと直接取り引きすればもう少し違った結果になったのでは」と語る。
 さて、島村商会とは密接な関係にあると言われる武田産業(株)がこの件でどういう動きに出るか。昨年、同社が中心になってJBN(株)(武田英世社長)が設立されたが、当初は島村商会も参画するのではないか、と予想されていた。しかし、今になってみれば、島村商会の財務状況を受けての不参加だったのでは、という見方もあるだろう。ただ、いずれにしてもこの2社が密接な関係にあったことは間違いない。
 JBNは、中国・四国地方での商品デリバリーを島村商会に委託しており、そうした業務に関しては即座に引き継ぐ必要性に迫られている。島村商会のDCMDCMとの取引も含めて、今後は中国・四国地方の量販店への供給態勢をどのように確立していくかが大きな課題になってくるだろう。中でも問題となるのは四国への商品供給だ。現在、四国では松山の森岡商会が業販店を中心に商品供給を行なっているが、最近では量販店にもデリバリーを行なっている模様だ。しかし、四国4県内に量販への供給ができる企業は他にはなく、中国地方に拠点を持つ企業が行なう以外にはない。とはいえ、昨今のガソリン高騰や連絡架橋の通行料も含めた高速道路料金、さらには四国の市場規模などを考慮すると採算性を維持するのが難しいことも事実だ。



高木兄弟商会破産、総務部長に横領の疑い
自転車事業は2月以降に新会社、新社屋で継続 (08 1/17)

 香川県観音寺市に本社を置く(株)高木兄弟商会(高木松一社長)が、1月9日高松地方裁判所観音寺支部に破産手続き開始を申し立て、11日までに同支部より破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約20億円になる見込み。申請代理人は川東祥次弁護士(川東法律事務所:香川県高松市兵庫町8-1日本生命高松兵庫町ビル3階 087-821-3155)、破産管理人は馬場俊夫弁護士(馬場俊夫法律事務所:香川県丸亀市本町3-25久保ビル3階 0877-25-1005)
 同社は1954年に設立され、資本金2500万円で、自転車を始め、オートバイ、小型船舶や携帯電話などの販売をしてきた。06年7月に携帯電話端末販売事業をIT機器、携帯電話販売の?ノジマの子会社に譲渡し多額の売却益を獲得。ところが、昨年12月にその売却益の一部を高木兄弟商会の取締役総務部長が着服していたことが発覚。こうした状況下での経営の再建は困難と判断し、今年に入り破産手続きを行なうことを決めた。
 なお、自転車販売事業に関しては、高木松一社長の長男である高木健司氏が代表となり?タカギ・コーポレーション(香川県仲多度郡まんのう町長尾210ー1 電話0877-56-9722 資本金400万円)が2月から継続して行なう。「携帯電話販売事業の売却益を、本来の事業である自転車等販売のベースにしたいと思っていただけに今回の不祥事は残念でならない。今後は新会社で、宮田工業など自転車事業を中心にゼロからスタートするつもりで10名が一致団結して頑張っていきたい」と心境を高木健司氏が語った。



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